大炎上した会員制サイトリニューアルで、結局5倍コストを圧縮出来た上に、既存のシステムリソースを活用出来た鎮火事例
※こちらはお客様との直接お取引ですが、お客様のご希望で匿名公開にしております。
人材マネジメント・コンサルティング会社であるA社様(本社東京・福岡/資本金3,000万円 以下敬称略)からのご相談事例です。会員制サイトのフルリニューアルをお願いできないか、実は今既にプロジェクトが動いているが、全くうまく行かずプロジェクトが破綻しかかっている、というご相談でした。
目次
A社様のご要望
A社のやりたい事は以下の通りです。
前提:
料金コースが一種類のみの会員制有料サイトがあり、それを複数料金コースの会員制有料サイトとして大幅な機能強化・フルリニューアルを図りたい。
具体的な要件:
① 既に存在する有料会員が、そのまま新サイトでも何もすることなく利用出来る事。
② 新規会員登録の際は自社所有の会員データベースと認証連携できること。
③料金体系は定額月払いと年間一括払いの2コースにする事。
④ 会員区分は非会員/標準会員(月額会員)/プレミアム会員(年間一括払い)の三つあり、それぞれでサイトコンテンツ出し分けが出来ること。
という事でした。
弊社への依頼の経緯-Web制作会社が開発に失敗
弊社へのご依頼のきっかけは、A社が会員制サイトをフルリニューアルする過程で、上記の要件にてWeb制作会社に依頼したものの、その制作会社が開発経験不足で開発が全く進まなくなってしまった事でした。
CMSはWordPressで実装となっており、特段難易度はありません。しかし肝となる会員管理と課金管理での知見を持ち合わせていませんでした。なぜそんな会社に依頼されたかとお聞きしたところ、最初は出来ると言っておりその言葉を信じた、との事でした。
しかしよくよくお聞きすると、現状、会員管理機能はWordPressのプラグインをちょっとカスタマイズして開発していました。正直セキュリティ強度は低いですが、その分開発難易度はかなり低いはずです。にも関わらずその開発会社の能力不足で要望の仕様を満たせない上に、かつ課金管理との連携も上手く動いていませんでした。なので当然料金コース別によるコンテンツの出し分け処理も動いていません。当初の予定を半年も遅延してしまっており、にっちもさっちもいかなかくなってしまった、との事でした。
ちょうどこの難題に直面した際、弊社の「WordPressのプラグインを使って会員制サイトを自分で作ってはいけない。」という記事を見て、ご相談頂いたとの事です。
ヒアリングしながら個々の問題を一つ一つ潰していく
① 既に存在する有料会員が、そのまま新サイトでも何もすることなく利用出来る事。
そのまま既存の代行決済会社を引き続き使うのであれば、問題ありませんとお答えました。代行決済会社を変更するとなると、既存会員リストの移動が必要になり、手続き等難易度が劇的に上がってしまいます。今回はこの心配は無いという事が分かりました。
② 新規会員登録の際は自社所有の会員データベースと認証できること。
「そもそも既存の自社開発の会員管理システムがあるのに、今開発中のサイトはなぜWordPressのプラグインをカスタマイズして開発しているのですか?」とお聞きすると、実は元々今のサイトは軽いお試しで始めた経緯もあり、既存システムとの連携機能の開発コストが払えずに、それでインスタントにWordPressのプラグインで始めてしまったのだそうです。すると意外と会員がついてしまい?結果、社内に会員管理システムが二個ある状態になってしまったとのことでした。良くあるお話です(後述します)。
③ 料金体系は定額月払いと年間一括払いの2コースにする事。
これは何ら問題がありません。というかするべきですよね、というお話を差し上げました。
④会員区分は非会員/標準会員(月額会員)/プレミアム会員(年間一括払い)の三つあり、それぞれでサイトコンテンツ出し分けが出来ること。
こちらも同様の意見を述べさせて頂きました。
何故自社会員管理システムを使わないのか?
「② 新規会員登録の際は自社所有の会員データベースと認証できること」ですが、最初の立ち上げは軽いお試しなので、別DBになるのはやむを得なかったにしても、何故リニューアル後もその方針で開発されているのか不思議に思い御質問すると、リニューアル予定の新サイトで、課金管理と連携して実装する開発ノウハウを持っていなかったため、やむをえず新サイトでも会員管理システムは既存システムを使わない方針としたとのことでした。そして依頼したWeb制作会社も、システムはちょっと毛が生えた程度しか出来ない、どちらかというとデザイン会社に近かったため、そのまま言われたとおりに開発をしますとなりました、との事でした。
コンサルティングの結論:中途半端な新規開発システムは廃棄して、自社会員管理システムを連携させる
前述した通り、既に新サイトは開発着手中であり、中途半端な会員管理システムと課金システムが存在していました。弊社ではプログラムソース等を確認した結果、結論として以下をご提案しました。
- 今の開発中のサイトは、WordPressだけを残し、中途半端な会員管理機能と課金管理機能は廃棄する。
- 会員管理は御社が現在所有している既存システムを活用し、WordPressへの組み込み方法や、課金管理との連携にかかる部分はAPIライブラリを弊社で開発し、組み込み方法をマニュアルとしてご提案する。これなら御社で組み込みが可能。
というご提案です。
まず現状中途半端なWeb制作会社が作った会員管理(WordPressのプラグインをいじっていました)と会員管理はソースが汚く、これを活用する事はかえってコストが増えるだけだとご説明差し上げました。これはもう廃棄するしかありません。
他方、自社のシステムとしてきちんとした会員管理システムが既にあるワケですから、これと課金管理システムのAPI化とWordPressへの実装方法をコンサルティングすれば、最短かつ最小のコストで実現が出来ると考えました。
結果、五分の一のコストでWebサイトフルリニューアルを実現
結果的に弊社ではWebコンサルシングのみに特化し、APIライブラリの作成と組み込みノウハウの提供を行いました。これによって当初A社で考えていたコストの1/5程度に圧縮することが出来ました。
既に開発中のプロジェクトという事もあり、極めて難易度の高いプロジェクトでしたが、弊社の知見を元に、お客様の存在を最小限度にとどめることが出来たと自負しております。