第三者が開発したシステム濃い目のWebサイトは作り直しするのと、少しづつ改修するのとどっちがお得なのか?
「Webサイトのシステムにいろいろとバグが出てしまっており、ユーザーからクレームが来ている。何とかして欲しい」
「バグを直すだけではなく機能強化もしたいが、システムの仕様書は無く、元の開発担当者とは訳ありでもはや連絡が取れない。完全にブラックボックス化してしまった」
「既存のWebサイトのシステムが老朽化しているが、システム開発をやり直すには膨大な時間と費用がかかりそうだし、かといってこのままにも出来ない。一体どうしたらいいだろう?」
弊社にはこの手のご質問、ご相談を良く頂き、Webコンサルティングも含めてお手伝いをしています。今回はこの「今現在動いているが、開発者と連絡が取れなくなってしまったシステム濃い目のWebサイト」について、どのように開発保守をおこなっていくべきなのか、まとめたいと思います。
目次
どうしてWebサイトの保守で困るのか?
Webサイトはとりあえず動いているものの、バグが出ている、機能強化したいが手を着けられない、というのは、概ね以下の事が原因に挙げられます(全て実際の事例です)。
(1)個人(あるいは個人みたいな会社)に安く作って貰っていたが、その個人がとんずらして途方に暮れている。
(2)今までいろんな開発担当者が携わっており、もう中身が何が何だか分からない。
(3)開発会社と仕様の範囲を巡って論争になり、協力を得られなくなった。
(4)開発会社はいるが、担当のプログラマーが辞めてしまったため、実は誰も中身をよく分からない。なので頼んでもいちいち遅い。
(5)Webサイトを買収したが、開発元の会社が協力的ではない。
安心してください、これらは極めて良くある事例です。皆さん同様の悩みで困っています。
基本方針。全部作り直しか、既存のものを手探りで改修するかの二択しかない。
今現在動いていて、開発者と連絡が取れなくなってしまったシステム濃い目のWebサイトを改善するには、選択肢としてはタイトルの通り二択しかありません。フルリセット方式か、外堀埋める作戦です。
それぞれメリットデメリットが明確です。順番にご説明します。
フルリセット方式ー今動いてるWebサイトを全部作り直す。
フルリセット方式は今動いているシステム濃い目のWebサイトを「生きた仕様書」として、新たに全部作り直す方法です。これの最大のメリットは、今何しろ動いていますから、サイトの問題点としてはわかりやすく、既存のWebサイトより明らかに良いモノを作り直すことが出来る点です。Webサイト開発においては上流部の仕様設計が一番の肝で、その部分で既に動いているサイトがあるというのは、大変品質の高いWebサイトを制作しやすくなります。
その逆のデメリットとしては、何しろ作り直しですから初期に大きな費用がかさむ、という事です。また、作り直している間、既存のWebサイトはどうせ破棄する事になりますので、機能強化や改修は最低限に抑えることになり、その間のサービス向上は望めません。これはWebサイトを作り直す規模が大きくなればなるほど、そういう期間が長くなってしまい、機会損失を招きます。
外堀埋める作戦ー既存のWebサイトを地道に改修
外堀埋める作戦の最大のメリットは初期費用で大きな費用がかからない。これに尽きます。また、今動いているサイトに機能強化を即図る事が出来ますので機会損失がありません。継続的なサービス向上をタイムリーに実施出来ます。
その裏返しのデメリットとして、トータルコストは作り直す時より3倍~5倍かかる、という事です。
仕様書がある、あるいは開発した当事者であれば、中身はよく分かっていますので、それほど時間はかかりません。しかし、問題が起きてご相談に来られるケースのほぼ100%が、仕様書も無く内部構造も不明なので、自力で調べなければなりません。また仕様書があったとしても、そもそも現物と「ズレ」があるなど、使い物にならないケースがほとんどです。
このため、ちょっとしたシステムの改修を行うのにも、いちいち周辺のソースコードを読みほどいていく所から始まりますので、結果通常の3倍から5倍手数がかかります。「ちょっとここ直してくれますか」という要望に対して、通常なら1時間かかるところが、プログラムのソースコードを探り探り触ることになるので4時間、半日かかったりします。
そして更にその結果、あちらを直したらこちらから水漏れした、という事も良く起こります。それでもその時直せばいいや、という割り切りであれば、これも選択肢としては「あり」です。弊社では実際に月間1千万PVのサイトをこの方法で改修して立て直してきた事例があります。また、そういうパーツパーツの改修を行っていくうちに、プログラム全体に見通しがきくようになり、開発コストは最終的には1倍、つまりゼロから作るのと同じくらいに修練していきます。それにかかる時間としてはWebサイトの規模にもよりますが最低でも1年程度はかかると見た方が良いでしょう(あくまで最低であって、規模にもよりますが、ご相談頂いたこの手のプロジェクトで1年で済んだ試しはほとんどありません)。結果トータルコストは当然高くつくことになります。
普通のWebシステム開発会社は、誰が作ったか分からないWebサイトを引き受けたがらない。
既存のWebサイトを改修していく場合、第三者であるWebシステム開発会社の多くは、他社が作ったサイトを引き受けたがりません。なぜならそのようなサイトはプログラムを解析する必要があり、そもそも担当者に非常に高い技術レベルが要求されるためです。つまり案件としての難易度が極めて高くなります。
また当然プログラム全体を把握しているわけではないので、もし何かあった場合の責任は取れません。自社でどこか触ったせいで、個人情報が漏れてしまっただとシャレになりません。なので引き受けたがらないのです。
第三者が開発したWebサイトを引き受けるWebシステム開発会社の特徴
そういう第三者の開発した、仕様が全く不明で手探りで調べないとならないWebサイトを改修・保守を引き受けるWebシステム開発会社には、いくつかの特徴があります(手前味噌ですいません)。(1)技術力に自信があり、(2)単価が高いですが結局お安くなる、(3)瑕疵担保は放棄して頂く前提での契約締結 です。一つ一つ見ていきましょう。
技術力に自信がある。
何しろ難易度の高い案件ですから、経験と能力の優れたエンジニア、プログラマーがいる会社でなくてはお引き受けすることが出来ません。豊富な経験値があると、起きた問題に対して、きっとこういう処理をしているのではないか?ここで条件分岐をしたとき、この辺のディレクトリでスクリプトを仕込んでいるのでは無いか?と言うカンが働きます。つまりセンスがあるかどうかが大事です。センスがあれば4時間で済みますし、センスが無ければ1週間かかっても解決出来ません(実話です)。結果アウトプットの量に影響しますし、依頼するWebサイト主催者もさすがにしびれを切らしますから顧客満足度に影響が出ます。このため、優秀なエンジニア、プログラマーがいる会社がいる会社でなければ、気軽にはお引き受けできないのです。
単価がそれなりに高いが結局安くつく
そういう腕の立つ会社は基本的に単価が高いです。ですが、結局安く付くことになります。例えば時給1,000円のプログラマーがいたとしましょう(いませんが。もし万が一いたとしてそうい人には依頼してはいけません)。1週間、40時間かかっても問題が解決しません。その間機会損失は続き、かつ40時間で4万円コストがかかっています。更にその間進捗がどうなっているのかというヒアリング、マネジメントをしなければなりませんし(得てして質の低いプログラマーほど報告も滞りがちで中身がない)、監視(お守り)が必要ですが、それの人手にも手数がかかります。結果多くの人の時間を奪ってしまう事になります。皆さんご存じの通り、優秀ではない人は周りの人の時間も「強奪」していきます。つまり「安いが一番高くつく」のです。
時給1万円のプログラマーなら(こちらも早々いませんが・・・)4時間で片付けてくれて報告も完璧です。周りの人の時間も奪いません。結局安くつくのです。
瑕疵担保責任は負わない前提なら引き受ける
前述した通り、基本的に第三者の開発したシステムの改修・保守をお引き受けするときは、どのWebシステム開発会社も瑕疵担保責任を負わない前提で引き受けます。問題が起きてしまった時に責任分解点のお話になるからです。開発を請け負う側からするともっともなお話で、前のシステム開発会社が空けたセキュリティホールから実際に個人情報が漏れた時に、その責任をこちらが取らされてはたまったものではありません。君主危うきに近寄らず、とそもそもこの手の案件を一切お断りしているシステム開発会社も珍しくはありません。
逆に言いますと、引き受けても良いよ、というシステム開発会社が現れた際、この「瑕疵担保責任を外して欲しい」という事を言わなかったら、そもそもそこは「分かってない」という事になりますので、そういう会社に頼むのは極めてキケンと言えるでしょう。
弊社の場合
思いっきり手前味噌で恐縮ですが、弊社では良くこの手の第三者が開発したけど今誰も面倒を見てくれない、仕様不明なシステム濃いめのWebサイトをお引き受けしています。今までの事例で言うと、
1 東証一部上場企業が多数利用している安否確認・地震交通速報・災害周知Webサイト
2 月間1千万PV以上あるC向けブログサービスサイト
3 医療系情報メディアサイト
等、書き出すときりがありません。この手の分野には僭越ながら自身と経験があります。
Webサイトを作り直すか、改修して運営するかの判断基準は?
このように、既存のグダグダなWebサイトを引き継ぐには、「フルリセットによる全部作り直す」か「外堀埋めて少しづつ改修する」か、二択しかありません。それぞれメリットデメリットがあり、それらは表裏一体です。考え方の起点は予算です。予算が許せば、作り直しをお薦めしますが、目先予算がないのであれば、だましだまし今のサイトを改修して回していくしかありません。良くWebシステム開発会社とご相談してお決めになって下さい。
既に動いているWebサイト、Webシステムの再構築、改修業務についてお気軽にご相談下さい。25年の豊富な実績がございます。
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