isではなくshouldで20年。これからも変わらないもの-新年ご挨拶にかえて
2018年になりました。
本年もどうぞよろしくお願いします。
私が自営業として「デジタルファーム」という屋号で事業を始めたのは1998年の事でした。ですので、今年でちょうど20年目という事になります。法人なりしてからは18年目になりました。
幸運なことに、お取引先の企業様、ご担当者様に極めて恵まれまして、東証一部上場年商ウン千億円の大企業から街の小さな商店さんまで、テレビ局さまから産直業者さままで、様々な規模、業種のお客様とお取引をしていただきました。一部の例外を除いてほとんどが直接のお取引です。使っていただけるのは本当にありがたい事だとしみじみ思います。深くお礼申し上げます。
改めて振り返って、どうしてうちのような総スタッフかき集めても数十数名前後の、吹けば飛ぶようなチンケな会社が、お客様に恵まれているのか、ということを考えてみました。
実は、改めて考えるまでもないのですが、それは今まで常に「isではなくshould」という姿勢で、仕事をしているからではないかなと思います。
つまり、はいわかりました、その通り作ります、これはそうなります、そうです、という「is」ではなく、この仕様はお客様のビジネスを考えたら、こうある「べき」だと思いますがいかがでしょうか、という「should」というスタンスでお仕事をさせていただいている、という事です。
昨年末、珍しく同業のお世話になっている社長さんとお食事に行きました。実は私は同業者さんとのお付き合いはほとんどありませんので、かなり珍しい機会でした。ちなみにfacebookでは個人的に呑んだ食った話ばかりあげていますが(汗)、実は人付き合いはあまり上手な方では無く、かつ出不精なものですから、誘われたら別ですが、よほどのことが無い限り呑みに出かけることはありません。
それで、その日、一緒にご飯を食べながら、おのずと仕事のやり方、というこれまたいかにも同業らしいお話になったのですが、その方からこんな事を言われました。
「田中さん、普通のホームページ制作会社、あるいはWeb制作会社、システム開発会社というのは、言われた事しかやりませんよ。お客さんの望んでいる事を聞いて、整理して、それをちゃんとやるというのが基本的なスタンスです。余計な事は言わないし、そもそも言えないです。でも、田中さんのところは全然そうじゃないですよね」
お客様のビジネスは当然ですがお客様のものですから、請負で開発をしている限り、そのビジネスはお客様の権利と責任においてなされるべきものです。なので、最終的な決定権はお客様が持っています。これは当たり前のことです。アートと商業アートが似ているようで全く異なるように、誰が張っているビジネスなのか、という事を忘れてはいけません。そこを無視して、お客様に独りよがりの提案や開発を押しつけるのは本末転倒だと私は思っています。そこを勘違いしては、お客様も「ウザいなこいつ」、と感じるでしょう(もしこれ読んで「まさにお前じゃん!」と思っているお客様がいたらすいません・・・(滝汗 )。
しかし、他方同時に、お客様のやりたいことをお聞きして、それであれば、ここはこういう仕様に「すべき」です、という事は、はっきり申し上げるべきだし、それがお客様の利益にもなるし、何よりもそれは請け負う側の責任と義務である、と私は思っています。
そして大なり小なり、濃淡はあるかもしれませんが、大原則として、今まで常にこのような姿勢でお仕事をさせていただいて来た事が、いつくものネットバブルをも残り超え、弊社が生き残ってこれた理由ではないかなと思っています(規模が代わり映えしないのは突っ込まないでください)。
つまり、「仕事は常にisではなく、shouldで行うべきだ」というのが創業以来一貫してぶれない弊社の哲学であり、主義思想であり、信条であり、レーゾンデートルであり、何よりもお客様が、数ある同業者の中から、わざわざ、我々を使う理由である、と私は思っています。我々は、お客様が我々を使う理由を自ら作らなくてはならないのです。
お客様は自分たちの望むWebサイト、Webシステムを作って欲しいと思ってますが、他方自分たちが何を作って欲しいのか、具体的に提示できることはほとんどありません。なので、「言われたものを作るので、仕様を出してください」と言われてちゃんと出せるのか、というと、ほとんど出す事は出来ない訳です。
他方、請負う側から見ると、「言われたとおりに作りました」というのは非常に楽で、安全なビジネスです。なぜなら全ての責任はお客様にあるからです。しかし、それがお客様にとって本当にベストな最終回答なのでしょうか?
私は社内でもスタッフに良くいうのは、
「言われたことだけやっているのであれた確かに楽で安全でしょう。しかし、それが本当にお客様のためになるのだろうか?言われたことだけやってればいいのであれば、お客様がわざわざ弊社を使う必然性は一切無く、単に安いところに仕事を出せばいいだけです。言われたことをやります、というのは、長期的に見れば自らの価値をおとしめ、毀損してしまうだけで、我々にも、お客様のためにも、全く誰のためにもなりません。我々は常に、isではなくshoudで仕事を行うべきです」
という事です。このようなスタンスになったのは、元々私自身が非IT業界、ユーザー企業側におり、異業種からやって来たという事に由来しているのかもしれません。
と、偉そうな事を言いつつ、実際のところ、まだまだ至らない点が沢山あると思います。しかし、20年間、今までもそうであったように、これからも同じく、「isではなくshould」というスタンスでお仕事をさせていただき、スタッフが持っている創造力、開発力を生かしながら、伸ばしながら、Webを通じてお客様のビジネスに少しでも貢献が出来るように経営者として取り組みたいと思っています。
スタッフ一同、本年もどうぞよろしくお願いします。
2018年 元旦
株式会社デジタルファーム 代表取締役社長 田中 亨