これをやると絶対利用率が下がる会員制サイトのパスワードリマインダー設計
Webサイトの運営にあたって、会員登録制にするのはかなり基本的な仕様の一つです。
しかし、当然ですが昨今ちまたには利用に当たっては会員登録を必要とするWebサイト、アプリはごまんとあり、いかにストレスなく会員登録して使って貰うか、という事がサイトの利用率に直結しますし、それはサイト(事業)に生き死に直結します。
怪異登録に当たって、当然使うのがアカウント(IDとパスワード)です。しかし、毎日何度も使うようなサイトであればともかく、数日に一回とか月に数回ではアカウントを覚えている事はほぼ無く、ブラウザに記憶させるケースがほとんどでしょう。そしてユーザーから見ると、昨今かなりのサイトが会員登録を促すため、もはやどれに登録したのかすら定かではありません。そして端末を変えた等、ちょっとした拍子に、再ログインせざるを得なくなってしまいます。
その時にどの会員登録制サイトでも「パスワードリマインダー」を用意します。
こういうヤツですね。
このパターンであれば、登録したメールアドレスを入れるだけで、そのメールアドレス宛に新しいパスワードが届く、又はURLが送られてきて、そのURLにアクセスすれば新しいパスワードが記載されたサイトを閲覧出来る、という形になります。
ほとんどはこのパターンなのですが、ところが中に希に、こういう事をする会員登録制サイトがあります。
・・・しらんがな。
もうこの時点でこのサイトを利用するのは辞めてしまいますよね。
この手の仕組みは、ほとんどの場合は会員登録時に定型の質問をまず選ばせ、自分で答えを入力させる、というものです。この質問も大体パターン化していて、
「昔飼っていたペットの名前は?」
「母親の旧姓は?」
「高校の時の部活は何部?」
といった選択肢が2,3個ではなく、10個近くあり、そこから自由に入力する、というパターンです。これも知っている人なら見破られてしまいそうな内容です。
この手のパスワードリマインダーを設計する人、あるいは企業というのは、手厳しい言い方をしますと、本質的に人は忘れる生き物である、という洞察力が欠如しています。
確かに単にメールアドレスを入れて、パスワードを取り寄せる、という作業よりは。ワンクッション入っていますからよりセキュアでしょう。しかし、こんなサイトを果たしてユーザーが頑張って使うでしょうか?運営しているサイトがインスタグラムです、ツイッターです、というのなら嫌々でも使うかも知れません。しかし、今時競合のサイトが無い分野など一つもありません。ユーザーに使って貰ってナンボなのです。Webシステム開発の設計においては、単に機能面そのものだけではなく、ユーザビリティ、つまり使う人の視点に立った設計をする事が極めて重用になります。
ちなみにこの手の仕掛けを施すサービスサイト提供会社には、インフラ系や重厚長大系の企業が目立ちます。つまり、責任を強き意識する系の企業に多く見られます。また単にメールアドレスを入れさせるだけではなく、名前、電話番号、生年月日まで入れないとならないサイトもあります。
パスワードリマインダーは、取り寄せるにあたって入力する項目が多くなればなるほど、人が使わなくなります。その代わりセキュアにりますが、使ってくれなければ意味がありません。自社がユーザーに対して、どの程度の貴重性、ワンアンドオンリーなのか、という事を踏まえて(なかなかそういう企業はありませんが)、パスワード取り寄せの設計をしてください。