自社ネットワーク内に完全自前でストリーミングサーバを建てるといくらかかるのか?
最近はAWSを筆頭に、各クラウド上にストリーミングサーバを比較的簡単に設置する出来ます。
なので、アプライアンスサーバとして自社ネットワークの中でストリーミングサーバを組み立てる、というのは基本的にご乱心級にあり得ない選択です。極まれに、一部の企業では未だに「クラウド上に大事な情報を置くのはけしからん」という事を言う企業もあるようですが、もはやその方がセキュリティ的にキケンなのは言うまでもありません。
しかし、それでも自社ネットワーク内にストリーミングサーバを建てたい、という場合、どの程度のコストが発生するか、シミュレーションしてみましょう。
まずアプライアンスサーバを建てる前に、そもそもネットワークの事を考えなくてはなりません。車を作ろうとしても、その前に走る道路が無ければ意味が無いとの同じです。
画質をHD程度と想定します。HDとは良く「ハイビジョン」と呼ばれており、画角サイズが1280×720ピクセル(1080Pと呼びます)になります。テレビで言うとこんな感じです。
基本的には問題の無い実用レベルの画質となります。HDについてのより詳しい御説明はこちらをご覧下さい。
では、HDの画質を一人が安心して見るのに必要な帯域はどれくらいなのでしょう?こちらに丁度良い資料があります。
この資料では1080Pの画質の動画を一人が見るのに、基本ネットワークの帯域を6Mpps使うと書かれています。
これはご自宅に光が入っている方で、速度を計測した事のある方だと、何となく想像がつくかも知れません。自宅で動画を見るとこの程度は普通に使っています。そして一人で、せいぜい家族が同時に使っても2,3人なのであまり速度遅延には気づかないはずです。
こちらでテスト出来ます。
家庭に入っている回線は基本「ベストエフォート」です。タイミング的に近くの人が動画見まくっていると、動画がカクカクしたりする事もある「かも」知れないけど、我慢してね、というものです。その代わり費用が格安で、せいぜい月数千円でしょう。
しかし、企業が使うとなると話は別です。
まず利用規模が異なります。100人が同時に動画を見る場合、上記の過程だと600Mbpsの帯域を使う事になります。そしてそれはベストエフォートでは許されません。必ず保障しなければなりません。となると、回線費用がいくらになるのか。恐らく普通に月3桁万円になってしまうと思います。つまり、この時点で、超有名企業以外、そもそももう現実的な選択肢ではありません。サーバを建てる前に、ネットワークのコストで爆死する事になります。
なので、普通の企業はクラウド(でストリーミング機能)を利用する、更に安く使うのならストリーミング機能はvimeoを使うのが間違いのない正解です。アプライアンスサーバとしてストリーミングサーバを建てるのは、隣の町にいくのにリニアモーターカーを自前でひくような行為であり、大企業以外は考える必要はないと言えるでしょう。